「トランスジェネレーショナル・トラウマ」は、
「世代を超えて伝達するトラウマ」です。
「トランスジェネレーショナル・トラウマ」
を解決するためのセラピーは、
「トランスジェネレーショナル・ヒーリング
(trans-generational healing)」
と呼ばれます。
近年、クライアントから相談される
ことが一番多いテーマである
「恋愛・結婚」の悩みについて、
「トランスジェネレーショナル・トラウマ」
の事例をご覧ください。
【トランスジェネレーショナル・トラウマ/ヒーリング事例】
私は心理セラピストとして、離婚そのものについて「良い、悪い」「すべき、すべきでない」といった判断やアドバイスをすることはありませんが、心理セラピーの観点から、離婚に際して気をつけるべき点があります。
正隆さん(40代)は、学生の頃から恋愛で失敗を繰り返しており、40歳を過ぎた現在で3回の離婚を経験しているという男性クライアントです。
正隆さんの両親も、彼が小学生(11才)のときに離婚を経験しており、その後は母子家庭で母親の手で育てられました。
両親の離婚後は父親に会うことを禁止され、母親からは毎日、父親の悪口を聞かされて育ったそうです。
その結果、当時、まだ少年だった正隆さんは「お父さんを殺してやりたいほど憎い!」「お母さんは僕が守るんだ!」と思いながら暮らしていたそうです。
その後、正隆さんが成長して青年、成人となり、自分が恋愛・結婚をする立場になったときに何が起きたのでしょうか?
彼は彼女や妻に対して怒りを爆発させ、DV(ドメスティック・バイオレンス)を繰り返しました。
子どもから親への愛は真に無条件です。
たとえ離婚をしても、子どもが父親を愛する気持ちが消えてなくなる事は決してありません。
もちろん母親のことも大好きです。
だからこそ、両親の離婚後は、母親への愛と忠誠心から愛する父親を憎み続け、母親の忠告を忠実に守って本当は大好きな父親と会う事を我慢していました。
しかし、正隆さんはセラピーを通して、
・ 本当は自分は父親の事を心から愛していたので、母親から離婚後に父親と会うのを禁止された事がとても悲しく辛かったこと
・ 「愛する母親」が「愛する父親」の事を悪く言うのを見るたびに絶望的な深い悲しみと憎悪にも似た怒りを感じていたこと
に気が付きました。
一回目のセラピー後、正隆さんは父親との再会を決心し父親の居場所を探しましたが、すでに病気で亡くなっていたことが判明しました。
そこで、2回目のセラピーのセッションでは想像のイメージの中で亡くなった父親に再会して愛を伝え、父親とサヨナラをして父親の死を受け入れることをしました。
どのように感じられたでしょうか?
親の離婚が子供の結婚や恋愛に
悪い影響を与えることがないように
気をつけたいものです。
心理セラピスト 棚田克彦