「トランスジェネレーショナル・トラウマ」とは、
「世代を超えて伝達されるトラウマ」です。
「トランスジェネレーショナル・トラウマ」
を解決するためのセラピーは、
「トランスジェネレーショナル・ヒーリング
(trans-generational healing)」
と呼ばれます。
「トランスジェネレーショナル・トラウマ/ヒーリング」
についての理解を深めるためには、
実際のセラピーの事例を
見ていただくのがベストです。
近年、クライアントから相談される
ことが一番多いテーマである
「恋愛・結婚」の悩みについて、
「トランスジェネレーショナル・トラウマ」
の事例をご紹介いたします。
【トランスジェネレーショナル・トラウマ/ヒーリング事例】
佳恵さん(40代)は二度の離婚を経験し、そして現在は3人目の夫との間で離婚協議中です。
佳恵さんとのカウンセリングを通して明らかになったことは、
・ 佳恵さんの離婚の原因は、三回とも夫の浮気と暴力
・ 佳恵さんの母親も、夫(父親)の浮気と暴力が原因で一度離婚している
・ 佳恵さんの母方の祖母も、夫(祖父)の浮気と暴力が原因で一度離婚している
という事実です。
佳恵さんは生まれて物心がついてから中学2年生で両親が離婚するまでの間、家の中で酔っ払った父親が母親に暴力を振るう様子を見て育ちました。
小学校3、4年生になる頃には父親が他に女を作って浮気をしていることも全部知っていたそうです。
しかし、子どものために家族の平和を大切にしたかった佳恵さんの母親は、表立って夫(佳恵さん父親)に腹を立てることはなく、ずっと我慢をしていたようです。
ただ、母親が離婚を決意してそのことを中学生の佳恵さんに伝えるときだけは、一度だけ佳恵さんの前で怒りと涙を見せたことがあったそうです。
幼少期に両親の不仲を見て育った佳恵さんは、他の女性以上に「幸せな結婚」「理想的な家族」に対する憧れと強いこだわりを持っていました。
しかしながら、どういう訳か不思議なことに、現実は、佳恵さん自身も母親や祖母たちと全く同じように「浮気をする男性」「暴力を振るう男性」との「出会いと別れ」「結婚と離婚」を何度も繰り返していました。
浮気をして他に女を作って家から出て行った父親や、夫婦ゲンカで父親に暴力を振るわれる母親を見てきた娘が、「お母さんがかわいそう!」「お父さん嫌い!」と感じることで母親に融合すると同時に父親を除外し、娘が母親の感情の面倒を見ることでそこに“もつれ”が生じます。
「酷い父親」に対して敵対心や拒絶感を持ち、「かわいそうな母親」に融合してしまった娘は、成人してから健全な恋愛や結婚をすることに困難を経験します。
広く男性というものに対して敵対心や拒絶感、恐怖感、不信感等を感じて恋愛ができなかったり、どういう訳か気がついたら自分も母親と同じようにわざわざ浮気や暴力をする酷い男性を選んでは恋愛と別れ(結婚と離婚)を繰り返してしまいます。
これは、母親の経験した「男女関係のトラウマ」が、娘の「恋愛・結婚運」に伝達したケースです。
恋愛・結婚運は、
「トランスジェネレーショナル・トラウマ」
の影響を最も受けやすい運命
の一つです。
「トランスジェネレーショナル・トラウマ」の
「トラウマが世代を超えて伝達する」
という意味が少しお分かりいただけた
のではないでしょうか?
心理セラピスト 棚田克彦