パーソナルヒストリカル・トラウマと、
それが運命に及ぼす影響についての
理解を深めるために、
私が実際にセラピーを担当した
クライアントの事例をご覧ください。
以下は、
パーソナルヒストリカル・トラウマの
「恋愛・結婚運」に対する影響の
事例です。
【セラピー事例】結婚・恋愛に与えるパーソナルヒストリカル・トラウマの影響
A子さん(仮名:39歳、女性)は結婚を望んでいます。
ところが、結婚を前提にしたお付き合いをするところまではたどり着くものの、次第に2人の関係が深まってくると、自分の側の不用意な発言や行動がキッカケとなって相手の男性を怒らせてしまい、相手から嫌われて別れてしまうことを繰り返しています。
直近の恋愛で相手の男性から婚約を破棄されてしまったことから相談にみえられました。
カウンセリングによって明らかになったのは、A子さんの心の中に
「どうせ私は愛されない」(⇒パーソナルヒストリカル・トラウマの影響)
というビリーフ(無意識の思い込み、固定観念)が存在することでした。
その原因を探っていくと、A子さんがまだ小さい子どもの頃に、父親から「お父さんは本当は男の子が欲しかった」「お前が女の子とわかってガッカリした」と繰り返し聞かされていた記憶が出てきました。
A子さんの実家は石川県にあり、お父さんは後取りとしての長男がずっと欲しかったそうです。
また、大人になってからのことですが、お母さんからも「お母さんは全く知らない土地に本家の長男(お父さん)の嫁として嫁いで来て何としても男の子を産まないといけないというおじいちゃん、おばあちゃんや親戚一同からのプレッシャーで大変だった」といった話を聞かされたことも思い出しました。
A子さんの場合、「どうせ私は愛されない」というビリーフが原因となって、無意識のうちに人から拒絶・否定される振る舞いを繰り返していたわけですが、その大もとの原因は幼少期のお父さんとの関わりにありました。
お父さんからの「男の子が欲しかった」「女の子でガッカリした」というメッセージが原因となって、A子さんの無意識の心の中に「どうせ私は愛されない」というビリーフが作られました。
では、なぜ、(子どもの)A子さんは,父親からの「男の子が欲しかった」「女の子でガッカリした」のような否定的なメッセージを受け取ってしまったのでしょうか?
「ノー(怒)!」「嫌だ(怒)!」と拒否することはできなかったのでしょうか?
カウンセリングで年齢退行して子どもに戻ったA子さんからのその答えは、
「父親から愛されたかった」
「父親と一緒に居たかった」
「父親からの注目が欲しかった」
というものでした。
子どものA子さんにとって、父親から「男の子が欲しかった」「女の子でガッカリした」といった否定的なメッセージを聞かされ続けるのはとても辛いことでしたが、それでも辛い気持ちを我慢して父親の話を聞き続ける限り、一日に何時間もの間、大好きな父親からの注目が得られ、大好きな父親が自分に向かってずっと話しかけてくれたのです。
子どもが親に一番に求めるものは「あたたかい愛情」や「やさしい注目」です。
しかしながら、それらが通常のやり方で得られないとなると、しばしば小さな子どもは親を怒らせるような言動(いたずら)をすることがあります。
なぜなら、たとえ「叱責」や「体罰」のようなネガティブな関わり方であったとしても、大好きな親からの注目を得られることには変わりがないからです。
小さい子どもにとって親から叱られたり叩かれたりするよりも、もっと、もっと、本当に辛いのは「親からの無視・無関心」なのです。
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介したのは、
パーソナルヒストリカル・トラウマ
からの影響によって、
本来は誰でも自然にできるはずの
幸せな恋愛・結婚をするという選択
が自由にできなくなる
という事例でした。
心理セラピスト 棚田克彦