パーソナルヒストリカル・トラウマと、
それが運命に及ぼす影響についての
理解を深めるために、
私が実際にセラピーを担当した
クライアントの事例をご覧ください。
以下は、
パーソナルヒストリカル・トラウマの
「恋愛・結婚運」に対する影響の
事例です。
【セラピー事例】結婚・恋愛に与えるパーソナルヒストリカル・トラウマの影響
独身女性のB子さん(38歳)は、職場でもプライベートでも異性との出逢いのチャンスがなく、「彼氏が欲しい」「結婚したい」と強く願いながらも、なかなか思うようにうまくいきません。
ところが、最近、心理学を勉強するようになって、過去の異性との人間関係を振り返ってみたところ、実は恋愛へと向かわないように(無意識のうちに)自分で仕向けていることに気づき始めました。
今まで好きな男性ができたときも、「ほら、今までもそうだったし、今回もそう。やっぱり彼も私のことを女性としては見てくれてはいないんだ」と勝手に結末を決めて、好きな男性がいる前では道化役を演じ、自分で決めた予測可能な未来に自分を当てはめていたことに気が付いたのです。
この予測可能な未来の結末は、慣れ親しんだパターンなので、未知の恐怖を避けることはできますが、決して幸せをもたらしてはくれません。
さらにカウンセリングを通してB子さんが発見したのは、彼女の中に異常ともいえるほどの男性恐怖症(⇒パーソナルヒストリカル・トラウマの影響)があることでした
B子さんは、あるときは「なかなかタイプの素敵な人がいないんだよね。私、面食いだから・・・」と理想の男性との出逢いがないことを嘆き、また別のあるときは「あの人は素晴らしすぎて、私なんかじゃちょっと・・・・・」と自分が理想の男性には不釣合いであると主張し、いずれにせよ、「自分にピッタリの男性との出逢いがないから恋愛できない」という言い訳を繰り返すことで、自らの男性恐怖症との直面を避けていたのです。
人は予測不可能な状況の中に身を置くと、不確実な未来への不安からストレスを感じて、ビリーフの中で決められた通りの自分を演じます。
そうすることで未来を予測可能なものへと変えて、安心を手に入れるのです。
事実は、理想の人も、そうではない人も、さまざまな人との出逢いが人生の中では起こります。
しかし、もしあなたのビリーフが、「本当の私を知ったら、人(男性)は私を嫌いになるに違いない。だから、どうせ嫌われるのなら、後から傷つくことがないように、初めから恋愛をしないようにして自分をショックから守ろう」と、恋愛対象になりうる男性を除外するなら、まさにその理由であなたにピッタリの素敵な男性があなたの人生に登場することはありません。
それは他ならぬ、あなたのビリーフが決めていることです。
これは何も人との出逢いだけに限ったことではありません。
「ある人の人生は失敗して損をする、別のある人は成功して得をする」、本当はそんなことは絶対にありません。
あなたの元にやってくる無数の人々や、あなたの周囲で起きる無数の出来事を、あなたが自分のビリーフに合致するように都合よく分類して意味づけし、あらかじめビリーフによって決められた結末をもたらすように反応しているだけなのです。
事実、子どもの頃からずっと過酷な環境に育つと、
「自分がひどい扱いばかりされても仕方がない」
「自分がひどい扱いを受けるのは当然だ」
といつしか思うようになります。
すると、他人からうれしい言葉やあたたかい言葉をもらっても耳に入りませんし、優しくされたり愛情をもらっても素直に受け取ることができません。
それは「単なる例外的な出来事」「私の人生にはありえないこと」として、無視されてしまいます。
その一方で、他人からひどい扱いを受けると、
「ほら、やっぱり、私はいつもこういう目に遭うんだ・・・」
と他人から大切に扱ってもらえない自分に対して、辛いながらもどこか納得してしまうのです。
イジメやパワハラ、セクハラ、夫婦間や恋人間でDVを繰り返し経験する人は、このストーリーを持っている人です。
パーソナルヒストリカル・トラウマの働きによって自分のビリーフに合わない人物や出来事はすべて排除し、そうやって自分が持っているビリーフの正しさを証明しつつ、さらに既存のビリーフを強化してゆくのです。
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介したのは、
パーソナルヒストリカル・トラウマ
からの影響によって、
本来は誰でも自然にできるはずの
幸せな恋愛・結婚をするという選択
が自由にできなくなる
という事例でした。
心理セラピスト 棚田克彦