私たち人間が
本来、生まれながらに持っている
幸福を求めて選択する能力を
阻害する要因には、
2種類のトラウマが存在します。
2種類あるトラウマの1つ目は、
「パーソナルヒストリカル・トラウマ
(personal historical trauma)」
と呼ばれるもの。
あなたが15歳位までに経験した
パーソナルヒストリカル・トラウマが、
あなたの運命(一生)を決定する。
パーソナルヒストリカル・トラウマ
からの影響によって、
本来は誰でも自然とできるはずの
幸福を求めて選択すること
が自由にできなくなる。
以下では、
パーソナルヒストリカル・トラウマの
運命に対する影響についての
事例を紹介します。
【パーソナルヒストリカル・トラウマ事例】
田舎の旧家に長女として生まれたA子ちゃんは、幼少の頃から厳格な両親に体罰を含む厳しい躾(しつけ)を受けて育てられました。
その一方で、A子ちゃんが病気やケガしたときだけは両親ともがA子ちゃんをとても心配し、優しく接してくれました。
また、A子ちゃんは、3つ下の弟が「大切な後継ぎの長男だから」と両親や祖父母から溺愛され、ワガママし放題で甘やかされて、特別扱いされるのを見てきました。
こうした体験を通してA子ちゃんは、
「私は女だから、周囲は私に欲しいものを与えてはくれない」
「自分の欲求に従って自由に振舞ってはいけない」
「自然でありのままの自分が人から愛されることはない」
「愛情や優しさが欲しいときには、病気やケガをするといい」
と、彼女の一生の生き方を決める体験を積み重ね、これをストーリーの基本的筋書きの構成要素としました。
この後、さらに小学校へと進み、それまで家族の中で主として両親との関わりを通して演じていたビリーフを、初めて家族以外の他人の集団の中で演じます。
そこで、新たな経験を積みながら、既存のビリーフに修正を加えました。
A子ちゃんは、小学校に入学して学校での勉強や体育の授業で運動がよくできたことから、しばしば先生からほめられるという体験をしました。
また、友達にも勉強を教えてあげたり、逆上がりや跳び箱のやり方を教えてあげる等して、クラスの中でも人気者になりました。
その結果、A子ちゃんは、先生やお友達の期待に応えて他人を喜ばせたことで人から受け入れてもらえるという経験をしたことから、
「病気やケガをすることだけが、人から愛される(受け入れられる)ための唯一の方法ではない」
「ただし、私が愛されるためには、特別な努力をしなければならない」
「他人の期待に応え、人を喜ばせれば、私は人から愛される」
という風にビリーフの修正を行ないました。
と同時に、
「やっぱり私は自分の欲求に従って自由に振舞って(生きて)はいけないのだ。他人の欲求に応えなければならないのだ」
と既存のビリーフを強化しました。
このように
あなたが15歳までに経験した
パーソナルヒストリカル・トラウマは、
人生のあらゆる分野にわたって
あなたの運命を決定します。
心理セラピスト 棚田克彦