自己破壊(悲)

こんにちは、心理セラピストの棚田克彦です。

 

自己破壊的な人というのは、自分自身を最大、最悪の敵とみなしているような人々のことを言う。

 

通常の生物学の理論に従えば、生命体というものは「快」を最大に求めて、「不快」を回避して最小にしようとするはずである。

 

しかし、この生命原理は、少なくとも表面的には、自己破壊的な人々には当てはまらない。

 

自己破壊的な人々は、苦痛や困難、恥辱の中に安心感や喜び、快感を見出すところがある。

 

こうした自己破壊的性格の人々は、一体、何を、何のために達成しようとしているのだろうか?

 

自己破壊的性格の人々をセラピーの力で救うことは可能だろうか?

 

ハカイダー

 

ゲシュタルト療法創始者のフリッツ・パールズの師匠の一人でもあるウィルヘルム・ライヒは、彼の著書の中で次のように語っている。

 

「マゾヒズム的性格が持つパターンとして、自らを苦しめたり、不平や不満を言ったり、自己破壊的であったり、自分の価値を落としめたりする態度を強調することで、自分の痛みを通じて他人を苦しめようとする無意識的願望がそこに推察される」

 

だとしたら、自己破壊的性格の人々は、父親や母親に始まり、夫や妻、兄弟、姉妹、自分の家族、友人、会社の同僚や上司、国家元首等に対して、「私が不幸なのは、あなたに責任がある。あなたに謝って欲しい」「私の苦しみを知ったら、あなたは私に優しくしてくれるでしょう」というビリーフを証明するための人生を生きているのかもしれない。

 

しかし、私はそれだけでもないと思う。

 

例えば、人間を含む動物のメスが自分の命が危険にさらされることを承知で出産したり、動物や人間の親が自分の命を犠牲にしてまで子どもの命を敵や危険から守ろうとする場合があるのは、動物の一個体にとっては確かに自己破壊的であるには違いないが、かといって、自分の痛みを通じて他人を苦しめようとする意図は全く感じられない。

 

これは、私たち人間が個人の損得を超えた大きな大義名分や社会善のために、ボランティア活動をしたり、母国を守るために戦争に参加したりするのと同じであって、個人レベルの「快/不快」を超えたより大きな「善」に対して自己犠牲を伴う献身的な貢献を果たすことで、自尊心や良心が満たされるためからなのかもしれない。

 

では、そういう問題のないケースは脇に置いて、通常、セラピーで扱われることの多い、「ダメンズや病気の異性とばかり付き合う(結婚する)」「低賃金で過酷な労働を続ける」「DVやパワハラの状況にとどまり続ける(自分から近づいていく)」「事故や怪我、大病を繰り返す」「リストカットやボディ・ピアシングを繰り返す」「病気になっても悪食、アルコール、タバコを止めない」といった自己破壊的性格をした人々の場合はどうだろうか?

 

そうした自己破壊的な生き方をしている人たちは、心理学を一度も学んだことのない全く普通の人から見ると、狂った人のように見えるかもしれない。

 

しかし、彼女/彼等の自己破壊的な生き方の背後には、ちゃんとした秩序が存在する。

 

すなわち、そこでは身体的な痛みや苦しみを色褪せたものにしてしまうような、ある隠れた心理的な目的が追求されている。

 

それは、普通の人々からすると信じられないような手段を使ってまでして手に入れた安堵感である。

 

だから、自己破壊的な生き方をしている人たちにしてみれば、心理的(情緒的)な安堵感や納得感を得ることに比べたら、低賃金労働、イジメ、パワハラ、モラハラ、暴力、病気、貧乏といった身体に感じる痛みや苦しみ程度は何でもないのである。

 

以前に、「リストカットすると痛いけど、痛みを感じて自分の血を見ると、『今日も生きている』という実感が湧いて安心する」と教えてくれた10代のクライアントがいた。

 

「私はこの世界から疎外されている」「私はこの世にいなくても良いのではないか」「私はこの世に存在しないのではないか」「私は本当に生きているのだろうか」といった感覚を持ち続けることで感じる計り知れない心の苦しみの大きさに比べたら、一時的な身体の痛みや不快感などは、どうってことはないのである。

 

暴力的な夫と一緒に居続けることで自己破壊的な生き方を続けている女性は、子どもの頃に親からの虐待を耐えることで、自分の苦しみを正当化してくれるある目的、例えば、「家族がばらばらにならないようにする」を達成することができる、あるいは、「自分が完全に親から見捨てられる」という、さらに深刻な事態を防ぐとができると未だに信じているのかもしれない。

 

そこには、「暴力に耐え続けることで、痛みを免れることができないが、幸福への希望の光を持ち続けることができる」「暴力から逃れると、身体の痛みは無くなるが、幸福への道が閉ざされてしまう」と、そんな内面の葛藤が見え隠れしている。

 

自己破壊的な振る舞いをしがちなクライアントのセラピーが、一進一退を繰り返し、一筋縄ではいかないのは、そうした理由からである。

 

セラピストや周囲の者が劣悪な環境や人間関係から無理に引きはがしたとしても、そうした内面的な葛藤が解決されない限りは、クライアント自身が自らの選択によって自分に苦痛を与える環境や人間関係へと戻っていく。

 

ただし、セラピストをやっていて感じるのは、自己破壊的な生き方をしている人たちというのは、確かに自らの選択によって自分で自分の苦痛を与えてはいることには違いないけれども、それで自分の人生の現状に納得していたり、心から満足しているということではないらしい。

 

つまり、彼/彼女等は、自分自身を「不当に苦痛を受けている存在」とみなしていて、「自分には落ち度はないのに(怒)!」と怒りや腹立ちを抱えている。

 

これは、「自分で選択して作り出した運命を、自分で激しく非難している状態」とも言える。

 

また、本人の「自己破壊的な生き方から脱したい」という動機もかなり強いことが一般的で、この辺りがセラピーを成功に導く上でのポイントになることが多いようだ。

 

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「生きることの意味と価値について問いかけるようになると、我々は狂ってしまう。なにしろ意味も価値も客観的に実在するものではないのだから。」

by ジークムント・フロイト

 

 

心理セラピスト 棚田克彦

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